松山JCとは

理事長所信松山青年会議所 第68代理事長 野口 和範からのメッセージ

はじめに

鳥取県出身のサラリーマンの父と広島県出身の専業主婦の母。2人の長男として松山市に生まれた私は、典型的なサラリーマン家庭で育った。中学までは校区の学校に通い、初めての進路選択となる高校受験では大学進学を前提に公立の普通科を受験し、進学した。この頃は、地元である松山、愛媛に愛着以前に関心がなく、人生2回目の進路選択である大学受験では、それまでとは違う環境に行きたくて、都会での生活に憧れて、全て県外にある大学を受験した。そして、18年間育った愛媛、松山の地を離れ、東京の大学に進学した。都会の生活は刺激的で、新鮮であったが、都会での生活を通じてそれ以上に感じたのは、地元「まつやま」の良さだった。自然、歴史・文化、生活の利便さ、人の良さ。この全てを兼ね揃えたこのまちがいかに住みやすく、恵まれた環境であるかを感じた。そして、人生3回目の進路選択である就職において弁護士の道を選んだ私は、周囲の多くが都市圏で就職する中、地元に戻る選択をした。
弁護士として最初の約1年半は大洲で活動し、その後、主な活動の場を松山に移した私は、2011年5月、松山JCと運命的な出会いをした。松山JCとの出会いは、間違いなく私の世界を大きく変えるものであった。

「地域に根差した活動をしたい」

なぜ松山JCに入会したいのか、入会面接で入会の動機を尋ねられた私はこのように答えた。

「このまちをより良くしたい」

これが私の原点である。松山JCは事業、役職、出向とこれまで私に多くの成長と発展の機会を与えてくれた。その都度、私は、このまちをより良くするためにはどうするべきか、そのために自分がどうあるべきか、そしてJCがどうあるべきか、原点に立ち返って考え、行動してきた。
我が国は2008年以降、人口減少社会に突入しており、松山市でも2010年以降、人口減少が始まっている。現状が続けば、2110年には松山市の人口は16万4000人にまで減少し、高齢化率は40%を超えると言われている。そうなると、社会保障費の負担は増大する一方で経済規模は縮小し、このまちは活力を失う。今、行動しなければ、私たちが住み暮らす愛すべき郷土は忽ち衰退し、消えてしまうだろう。
変革期にある今こそ、このまちに住み暮らす私たち青年が、我が国、そしてこのまちの問題に対して当事者意識を持ち、青年経済人としての強みを活かして、枠にはまることなく積極果敢に行動を起こさなければならない。

2030年まつやままちづくりビジョンの構想

「2020年まつやままちづくりビジョン」の策定から10年となる2020年度は、まちづくりにおいて松山JCが果たすべき役割と方向性を明確にするため、改定後の5年間を重点的に検証し、2030年に向けたまちづくりのビジョンを策定しなければならない。
人口減少社会に突入し、社会情勢も目まぐるしく変化する中、10年先の未来を描いていくことは決して容易なことではない。しかし、明るい豊かな社会の実現に向けてブレのない運動を推し進めていくには、確かなビジョンが必要である。産官学民と連携し、多角的な視点から「2020年まつやままちづくりビジョン」を検証し、このまちをより良くするための新たなビジョンを構想していきたい。

パートナーとの連携の強化・拡大

JCは、多くのパートナーを巻き込み、牽引し、行動し、社会を動かすことができる団体である。松山JCでもこれまで多くのパートナーと連携して事業を構築し、運動を展開してきたが、社会にインパクトを与え、多くの人の意識を変えていく運動を更に加速していくため、価値観を共にし、目的を同じくするパートナーとの連携を強化・拡大していきたい。
パートナーとの連携の強化・拡大の手法としては、2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に着目したい。SDGsは、企業経営の道標としても注目されており、まちづくりとの親和性も高い。明るい豊かな社会の実現に向けて展開される私たちの運動も全てSDGsとつながっている。SDGsという切り口から私たちの運動を目に見える形とし、行政、他団体、企業、そして市民の皆さまと共有することで、パートナーとの連携の強化・拡大を推進したい。

インバウンド対策の強化による交流人口の増加

第三次産業を中心とするまつやまにおいて、地域を活性化するためには交流人口の増加は必要不可欠である。しかし、まつやま市民のインバウンドに対する関心は高いとはいえず、まずは私たち市民一人ひとりがインバウンド対策の強化の必要性を現実のものとして認識するところから始めなければならない。
2020年度は東京オリンピック・パラリンピック開催の年であり、日本が世界から注目を集めるとともに、日本が世界を意識する年である。これを好機と捉え、市民の皆さまが国際の体験を通じて、インバウンド対策の強化の必要性を身近に感じることができる機会を提供していきたい。

歴史・文化の発信と地域のたからの活性化

豪華絢爛な大名武者行列と城山公園堀之内地区での事業を中心とする松山春まつり(お城まつり)は、松山JCの一大事業であり、市民の皆さまに春の風物詩として広く認識されている。松山春まつり(お城まつり)を改めて松山の歴史・文化を広く発信する機会と捉え、市民の皆さまにまつやまの代表的な観光資源である松山城を中心とした松山の歴史と文化を感じていただき、郷土愛を育む機会としたい。
まつやまを代表するもう1つの観光資源である道後温泉周辺において行われる道後温泉一番走りでは、道後の温泉文化の発信という運動の原点に立ち返り、道後の秋の風物詩として欠かすことができない事業の形を考えていきたい。

社会人基礎力の養成と次世代の若者の育成を通じた自らの成長

経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」は、2017年に「人生100年時代」を踏まえた見直しがなされ、何を学ぶか、どのように学ぶか、どう活躍するかの新たな3つの視点が加えられた。人生100年時代、第4次産業革命の中、社会人基礎力の重要性は確実に増している。
2016年度より始まったまつやま活性化コンテストは、これから社会に出て行く次世代の若者に地域の課題を解決するための施策を企画立案実行してもらう体験を通じて、次世代の人材を育成してきた。今一度、次世代の若者の社会人基礎力を育むという運動の原点に立ち返り、そのためのより良い事業の在り方を探求するとともに、次世代の若者の成長の支援を通じて私たちも共に成長する機会としたい。

全ての子どもに明るい豊かな未来を

体験を通じた学びは後の人生に大きな影響を及ぼす。しかし、地域コミュニティが衰退する中、子どもたちが社会の中で体験を通じて学ぶ機会は多くない。松山市、そして松山市相撲連盟と連携して実施されるわんぱく相撲まつやま場所では、相撲を通じて勝ち負けの喜び、悔しさだけでなく、相手のことを慮る心、負けたときの振る舞いを学び、子どもたちの一生の思い出として、健全な心身の成長を促す機会としたい。
我が国の子どもの貧困率はOECD加盟国の中でも高い水準にあり、7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われている。全ての子どもが未来に明るい希望を持てるようになるには、子どもの貧困は避けて通ることができない問題である。まずは松山JCのメンバーが子どもの貧困の実情を知るところから始め、パートナーとの連携を強化・拡大し、松山JCとして持続可能な解決策を社会に提示していきたい。

基本運動としての会員拡大と地域を牽引するリーダーの育成

近年の会員拡大の成功により松山JCには160名を超えるメンバーが在籍している。しかし、その年齢構成を見ると3分の2以上が5年以内に卒業を迎える。今、会員拡大をしておかなければ、近い将来、メンバーは減少の一途を辿ることになる。しかし、単にメンバーの数を増やせばよいというわけではない。私たちの運動に共感してもらえなければ、明るい豊かな社会の実現に向けた運動の原動力とはなり得ない。
私たちの運動や事業、JCの魅力を伝えていくことはもちろん重要であるが、ことばで語り尽くしてもそれだけで共感を得ることは容易ではない。会員拡大はメンバー全員で取り組むべき基本運動であることをメンバー一人ひとりが自覚し、全ての事業において会員拡大の視点を持つようにしたい。そして、JC活動や事業構築、さらには動員や出向によって多くのメンバーに成長と発展の機会を提供し、地域を牽引するリーダーを育成していくことで、松山JCをより魅力的な組織とし、持続可能な会員拡大につなげたい。

タイムリーな情報発信

どれだけ素晴らしい事業を構築しても、社会に認識されなければ、人の意識を変えることはなく、明るい豊かな社会を実現するための運動にはつながらない。より多くの市民の皆さまに事業を知っていただくには、積極的、戦略的な事前広報が必要不可欠である。
SNSの普及により情報発信のコストは低くなり、これまでにも増して迅速かつ容易に情報発信ができるようになっている。SNSを活用したタイムリーな情報発信に重点を置き、私たちの運動・活動を周知し、松山JCをブランディングしていくとともに、ホームページとしてのMJCの位置付けを見直し、SNSとの相乗効果を図っていきたい。
広報誌「わかつばき」については、紙媒体としての特性を活かし、読み物としての内容を充実させ、行政、関係諸団体、そしてシニアの皆さまに松山JCの魅力を伝えるものとしていきたい。

持続可能な組織であるために

私たちは、法令、定款及び諸規則に基づき適正な組織運営をしていかなければならない。しかし、法令、定款及び諸規則に抵触しない範囲で現在の組織運営を変えることは可能である。さらには、法令や松山JCとしての本質に反する事項でなければ、より良い組織運営を実現するため、定款や諸規則を変更し、既存のルールを変更することも、新たな制度を設計することも可能である。コンプライアンスを強化し、決められたルールを遵守しながら、持続可能な会議の在り方、組織運営の在り方を、定款や諸規則の変更も視野に調査・研究していきたい。
また、松山JCが公益社団法人である以上、事業の公益性を確保し、公益目的事業比率50%以上を維持するとともに、収支相償、遊休財産の保有規制を満たさなければならないのはもちろんであるが、同時に公益社団法人に完全移行してからの5年を検証し、松山JCが公益社団法人であることの意義を再確認したい。

今、まつやまの未来に投資する

2017年度に改訂された小学校の新たな学習指導要領が2020年度から全面実施される。新たな学習指導要領では、「何ができるようになるのか」という観点から、実際の社会や社会で生きて働く「知識及び技能」、未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現など」、学んだことを人生に生かそうとする「学びに向かう力、人間性など」の3つの柱からなる資質・能力を総合的にバランスよく育んでいくことが目指されている。
まつやま市民シンポジウムでは、まつやまの未来を担う子どもたちに、身近な問題からこのまちの課題を考え、解決する体験を通じて、これらの資質・能力を身につけ、目まぐるしく変化する社会の中で生きる力を育む機会を提供していきたい。

おわりに

劇作家ウィリアム・シェイクスピアの名作「ハムレット」で、ハムレットは、

“Life is a series of choices”(「人生は選択の連続である」)

と言った。
私たちは日々選択を繰り返し、そしてその選択の繰り返しが今ある自分を形成している。時に選択には勇気と覚悟が必要となる。その時、拠り所となるのは自分の原点である。私たちは、それぞれ自分の原点を持っており、選択に迷った時は、原点に立ち返って考え、選択をしている。
何も選択せず、自分の殻に閉じこもったままではいつまで経っても成長はない。原点に立ち返って考え、勇気をもって自分の殻から一歩踏み出そう。そこにはきっと新しい世界が広がっているはずだ。この一歩の繰り返しが私たちを大きく成長させ、このまちをより良くする、私はそう確信している。
共に歩んで行こう、笑顔広がるまつやまの明るい未来に向けて。

原点回帰 ~勇気ある一歩を踏み出すそのために~

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